この記事はさくら治療院 岩城が作成しています。
この記事ではこれから鍼灸院を開業予定の方が問診表(予診表)を作る参考になるように作成しました。作成者は井穴刺絡療法を施術の中心にしているため、内容は井穴刺絡学の考え方を基にしています。
目次
なぜ問診表(予診表)が必要か
開業して間もない頃は「何を聞いておくべきか」を明確にしないと肝心なことを聞き逃すことがよくあるので、あらかじめ問診票を作っておくと、患者さんへの聞き忘れが無く次の来院時の施術方針を立てるのが楽になります。
症状と経過

一番困っている症状にアプローチ
患者さんにつらい症状について尋ねると3つ4つと返ってくることがありますが、その全てをいきなり変化させるのは難しく、またそれをしようと施術すると刺激過剰になって来院前より具合が悪い、なんてことも起きやすいので「1番つらい症状」を知って、それに対してアプローチすると施術者と患者さん両方にメリットがあります。
その症状はいつからか?
症状が出始めた時期を知る1番の理由は「きっかけ」を知るためです。
・仕事内容が変わった(デスクワークから肉体労働に変わったタイミングで症状が出たなど)
・ペットを飼い始めたあたりから出た(ペットの毛などでアレルギー反応)
・出産後(会陰切開をした)
など、いつから症状が出始めたのかを聞くと患者さん自身が「そういえば・・・」と不調の原因にたどりつき、いろいろ聞かなくても施術者はその原因に対してアプローチ出来ることがあります。
症状の経過
症状が出始めてからあまり変わらない・少しは良くなっているのはそれほど深刻ではありませんが、だんだんと悪くなっているものは癌が進行している(転移している)など気を付けたい所見です。
具合の悪い時間帯
井穴刺絡学では具合の悪い時間帯から自律神経のどちかに傾いているかを推測します。
起床時・・・就寝で身体が休まり、起床時に楽になっていてもいいのに具合が悪いのは、副交感神経の異常興奮が原因で症状を引き起こしている(就寝=副交感神経優位)。この場合、身体を動かし始めると交感神経が働きだし副交感神経が抑え始められるので症状が和らいでいきます。
昼過ぎ・夕方から・・・午前中、副交感神経が優位だったのが昼過ぎ・夕方と疲労が溜まり交感神経が優位になり始めると、やがて交感神経の異常興奮からくる症状の悪化が出てきます。
1日中・・・①自律神経の偏りの問題ではなく、癌などの重篤な疾患によるもの。
②「運動不足などで肩腰がだるい」など高齢者やデスクワークの方に多く病気とは言えないもので、当然病気ではないので施術でどうなるものではなく、患者さんに運動など体を動かしてもらうしか解決策はありません。
医療機関の診断と既往歴

医療機関での診断の有無
あらかじめ医療機関の診断があると鍼灸不適応疾患を除外出来ます。重篤な疾患をなんでも受け入れて、患者さん本人はもちろんの事、ご家族にも迷惑をかけるのは開業鍼灸師は後に訴訟などがおきるリスクなども考えて避けなければなりません。
以下の本は鍼灸師が不適応疾患を見逃した結果、患者さんのご家族が激しく後悔した事例が載っています。

主訴以外の症状
主訴以外の症状がヒントになる場合があります。例えば腰背部痛が主訴の患者さんが「胃の具合があまり良くない」と話されている時には胃からくる関連痛が疑われ、腰背部に対するアプローチとともに胃に対するアプローチも候補に入るなど。
既往歴
患者さんの症状が以前にも経験しているものであれば、その時どうような経過を辿って治ったか(服薬で治ったか、自然と治ったかなど)また、腰痛の患者さんが以前腎結石を患っていたら、腎臓が原因の可能性が高いなど現在の症状と関連する貴重な情報になります。
西洋医学が診ない古傷
西洋医学は体を部分で診るのに対し、東洋医学は全体で診る傾向があります。その結果、医療機関を受診した際、医師が体の古傷を診ることはほとんどなく、治療ポイントの一つを見逃しがちです。
腰痛に関わる古傷・・・・虫垂炎・胆嚢の切除・会陰切開など多数
膝痛・・・・足指の骨折(高齢者に特に多い)・捻挫(学生時代に部活で頻繁になど)
肩痛・・・・鎖骨骨折・体幹部の傷(特に脇腹近く)
などの他にも様々な古傷・火傷痕などが運動器疾患に関わり、経穴(特効穴など)にアプローチせずとも古傷へのアプローチだけで症状が変化することは多いです。
古傷へのアプローチについて詳しく知りたい方は医道の日本第542号(平成元年10月号)・第543号(平成元年11月号)の松本岐子先生の「古傷の癒着と鍼灸」の記事などをご覧になってください(この他にも松本先生の傷に対する記事はいくつかあります)。鍼灸学校にはバックナンバーが置いてある所もあります。(ちなみに私の母校 国際鍼灸専門学校には無く、国立国会図書館でコピーしました)
服薬の有無
薬が関わっている可能性のある症状があります。例えば、浮腫みで来院された患者さんに薬について聞いてみて、後で調べてみると浮腫みが副作用として記されているなど。それでも薬の服用に関しては患者さんと医師・薬剤師との間の話なのでいきなり「止めなさい」と鍼灸師は指導できませんので、その事を踏まえたうえで施術方法を考えていきます。(これはあくまで私個人の考え方なので、薬の副作用の可能性を伝える鍼灸師もいると思います。)
飲食・睡眠

飲食
食欲があり体重が増えるのは健康的ですが、体重が減ってきているのは内臓に問題があり、運動器疾患で来院されたとしても内臓問題を除外せずに施術する必要があります。また、間食するくらい食欲があるのは良いですが、副交感神経の異常興奮で症状が出ている場合は間食によっていつも副交感神経が働いてしまうので、異常興奮を抑えようと施術しても無駄になりかねないので、その旨を患者さんに伝えて間食を控えていただきます。
血圧
高血圧の症状として肩こりは良く知られていますが、意外に低血圧でも肩こりが起こるのを知らない方が多いので予め聞いておきます。ご自分の普段の血圧がどのくらいかを把握してない方は意外に多くて困ることが多いです。
眼精疲労・体質

鼻水や耳のつまりは副交感神経の異常興奮でよく診られる所見です。眼精疲労は肩・首こりの大きな原因の一つなので患部にアプローチするより先に施術しないといけません。
アレルギーの有無

主訴以外に蕁麻疹・喘息などのアレルギー・冷え性・浮腫みなどがあるか聞いておいて、主訴に副交感神経の異常興奮が関わっているか問診で聞いておきます。またタバコ・アルコール・甘い物・揚げ物など副交感神経を興奮させるものを嗜好しているかも聞いておきます。
その他臨床上気を付けること

妊娠の有無は使用する経穴を選ぶ際大事です(妊婦さんに注意すべき三陰交・肩井を使うか?など)。
初回で患者さんのNGが判ったら「灸はダメ」だから次回からは使わずに施術しよう、など気を付けます。
鍼灸治療の経験の有無は患者さんのNGを知るのに大事です。年配の方だと「子供の頃に親からお灸を据えられて嫌いになった」、「以前、鍼で痛い思いをしたので出来ればお灸で」など。
ブライトスポット・・・その患者さんがどんな時症状が軽かったか?365日24時間具合が悪いということは少なく、「仕事中はあまり気にならない」とか「食前より食後のほうが調子が良い」など症状が落ち着いた時が施術する際のヒントになることも。
問診票(予診表)のPDF


私が数年前に作って現在も使用している予診表のPDFデータです。これをそのまま使っても構いませんし、これを雛型に自分で使いやすい問診票を作って活用してみてください。ダウンロードは↓
問診票作成ソフト
私が問診票を作るのに使ったソフトは「パーソナル編集長」です。Wordでも出来るのでしょうが、私には難しくてチラシ・パンフレットを作るのに便利なソフトである「パーソナル編集長」で割と苦労せずに作れました。(リンクはコチラ)
問い合わせ・予約はさくら治療院の公式LINEまで↓
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