井穴刺絡療法による腰痛治療①ふしぎな腰痛

DSC_0067

はじめに「井穴刺絡療法とは」をご覧ください。

手足の井穴図

ご夫婦で来院され、奥様の治療がメインで旦那さんは「ついでだから自分も」といった感じで、こちらも心の中で「ついでというくらいならそんなに難しくない症状なのかな?」とリラックスしてお話を伺いました。

座位で体幹の前屈2種類
DSC_0067

旦那さんの訴える症状は腰痛なのですが、背中を丸めながら前屈すると痛み、腰を反らすように前屈すると痛くないという腰痛でした。「同じ前屈なのに何が違うのか?」問診で虫垂炎などの手術痕はないか?骨折の既往歴は?健康診断で内臓に数値の異常はないか?尋ねても、経絡テストなど詳しくやっても私の中で「?」ばかりでどうしようか悩んでしまいました。
「患者さんの身体に聴きなさい」という昭和の名灸師深谷伊三郎先生のお言葉どおりにして

腹診 右季肋部に圧痛

腹診してみるとご本人に自覚はないけれど右季肋部に緊張があり、あらためて肝臓・胆嚢の数値の異常・既往歴など聞いてみても特に問題なし。

肝臓の井穴右F2

素直に身体の反応に従って右F2(写真は私の足)の刺絡をしてみると、右季肋部の硬さも前屈もあっさり改善されました。おそらく肝臓を圧迫するように前屈すると症状が出ていたのかもしれません。その後お話を聞き続けると「仕事の関係で塗料を吸い込んでいるからかもしれない」との事。お酒も飲まれるし原因の特定まではいきませんでしたが、井穴刺絡がきれいに効いた症例でした。